【初心者でもわかる宅建】制限行為能力者、権利能力、意思能力、行為能力、未成年者、被補助人、被保佐人、成年被後見人


宅建で出てくる制限行為能力者について、はじめての方でもわかりやすいよう、詳しく丁寧に解説します。
普段では聞き慣れない言葉についても、その都度わかりやすい言葉と併せて解説を入れています。
解説については、本、大手企業複数社で調べて掲載しています。

制限行為能力者

制限行為能力者とは、民法上でいうと、判断能力が不十分であり、単独で完全・有効な法律行為を行うことができない人のことです。

人に関する3つの能力

権利能力

権利能力は、権利・義務の主体となることのできる資格のことをいいます。
人(自然人)であれば生まれながらにして権利能力を有するとされています。(民法第1条の3)

自然人(しぜんじん)…有機的な肉体をもったいわゆる人間・権利義務の主体となる個人のことを、民法上、自然人といいます。
社団法人などの法人も権利能力を有することとされています。(民法第43条)

生まれる前の胎児であっても、相続・遺贈・不法行為による損害賠償については権利能力を持っています。
ちなみに、死産の場合は初めから権利能力がなかったことになっています。(民法第721条、第886条、第965条)

意思能力

意思能力は、自分が行った法律行為がどのような結果になるか理解することができる精神能力のことをいいます。
意思能力がない状態で行われた法律行為は無効です。
例えば、ひどく酔っているときなどは、意思能力がないので、そのときの法律行為は無効となります。

また、意思能力を持たない人のことを意思無能力者といい、その人の行なった法律行為は無効とされています。
具体的にいうと、小学校低学年以下に相当する精神能力しか持っていない人と考えられています。

行為能力

行為能力は、単独で確定的に有効な法律行為をできる能力のことをいいます。
また、この行為能力に制限が付けられた人のことを制限行為能力者といいます。

制限能力者には未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人があります。

制限行為能力者

未成年者

未成年者とは、20歳未満の人です。つまり、19歳までの人のことです。
(注意!)民法の改正により、2022年4月1日から成年年齢が、20歳から18歳に引き下げられます。
保護者…親権者(親)・未成年後見人
後見人…人を保護する人という意味です。

  • 婚姻した人は、成年に達したとみなされます。(民法753条)
  • 民法により後見人は次の権限があります。(民法第859条)
    1. 未成年者または成年被後見人の財産を管理する権限を持つ(財産管理権)
    2. 未成年者または成年被後見人の法律行為を代理して行なう権限を持つ(代理権)

被補助人

被補助人とは、精神上の障害があるため、物事を判断する能力が不十分である人で、家庭裁判所の補助開始の審判(裁判所での判断)を受けた人のことです。
ちなみに、「被」がつく人が保護される人という意味です。
下記のとおり、障害は軽微なので、だいたいのことは自分で判断できる人が被補助人とされています。

保護者…補助人

  • 被補助人は、精神上の障害の程度は軽微であるとされ、重要な法律行為は基本的には単独で有効に行なうことができます。
  • 家庭裁判所が必要と判断した場合には、補助人の同意が必要な場合や、補助人が法律行為を代理する場合があります。(民法第16条、第876条の9)
  • どのような法律行為について同意や代理を必要とするかは、本人、配偶者、親族などの請求によって家庭裁判所が審判します。(民法第16条、第876条の9)
  • 被補助人との契約時には、その補助人と事前に協議しなければなりません。

被保佐人

精神上の障害があるため、物事を判断する能力が不十分である人で、家庭裁判所の補佐開始の審判を受けた人です。
簡単なことであれば、判断を自分でできる人が被保佐人です。

保護者・・・保佐人

  • 家庭裁判所が、本人・配偶者・親族などの請求に基づき審判を行ない、「保佐開始」の決定し、「保佐人」を選任します。(民法第11条、第876条の2)
  • 被保佐人は、財産に関わる重要な法律行為(不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができません。
  • 重要でない法律行為、日用品の購入などは、有効に自分だけで行なうことができます。(民法第12条)
  • 重要な法律行為を行なうときには、保佐人の同意が必要です。
  • 保佐人の同意なしに重要な法律行為を行なった場合は、その法律行為を取り消すことが可能です。
  • つまり、被保佐人との契約時には、その保佐人の同意を必ず取る必要があります。

成年被後見人

精神上の障害があるため物事を判断する能力が欠如した人で、家庭裁判所の後見開始の開始の審判を受けた人
のことです。
成年被後見人は、自分で判断することがほとんどできない人のことです。

保護者・・・成年後見人

  • 家庭裁判所が、本人・配偶者・親族などの請求にもとづいて審判を行ない、「後見開始」の決定し、「後見人」を選任します。(民法第7条、第843条)
  • 法律行為を有効に行なうことができないものとされ、どのような法律行為でも原則的に取り消すことが可能です。(民法第9条)
  • 日用品の購入などは、有効に自分で行なうことができます。(民法第9条)
  • つまり、成年被後見人との契約時には、成年後見人を代理人として契約を行なう必要があります。(民法第859条)
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